「藤島、何突っ立ってんの」
ボス猿が私の背中を押して、とんっと足が一歩前に出た。
「……分かってるよ」
「ならさっさと働きなさいよ、あたしは貴重な時間つぶして来てやってんの!」
……うん、よし。突っ立ってる場合じゃないんだ。
その勢いのまま、川端さんを追って教室を後ろの扉から出て、関係者以外立ち入り禁止の紙が貼られた調理室へ。
「――川端さん、これアイス溶けちゃうから早くホール回して!」
「こっちが先だって言ってんじゃん!」
「ねえ、次のオーダー何か早く言ってくんない?」
……うーわー。
様々な怒号が一気に川端さんに向けられて、本人はせわしなく容器を下げて、また次のアイスクリームをお盆に乗せ、厳しい声に頷きながら額の汗を拭った。
ホール担当の子がサボってること知ってるくせに、誰も接客に入ろうとしないんだ。
調理の方は見た感じじゃそれなりに人が足りてるんだから、せめて誰か一人くらいはホールに行っても問題なさそうなのに。

