そりゃあ傍から見れば、ブレザーに白馬のマスク姿は明らかに不審者だけど。
「しょうがないじゃん、童話カフェで店員やるにはコスプレするしかない」
「いやいやいやいや、他に顔出る衣装あっただろ! マジできもい!」
……なんかボス猿にツッコミされるとさすがに自分がバカに思えてきた。
他の衣装もそりゃあったけど、でも川端さんに会うのにまだ面と向かって話す勇気がない。
私だとバレなければ堂々と振る舞える気がするのだ。
「……っしゃ、しょうがないから川端さんに恩でも売りに行くよ!」
「……なんであたしまで……」
とかなんとかぶつくさ言いつつも、ここまで私に引っ張られてきてくれたボス猿はもしかするとそこそこには良い人なのかもしれない。
さすがにぶっつけ本番で、私一人がシフト入ったってカフェを回すのは大変だもんねえ。
接客とかやったことないし。いらっしゃいませご主人様とか言わされたらどうしよう。
いや、童話カフェでそれはないか。せいぜい玉の輿に乗らせてくださいませ王子様かな。バカか。
川端さんだって猿の手も借りたいと思ってるだろうから、この女をうっかり巻き込んでみてしまったのだけれど。
「……今日手伝えば、この前の借りはなしね」
「え? なに?」
「なんでもないっつーの!」
ぼそっと呟いたボス猿は、自棄になったのか人ごみをかきわけて、教室に入って行く。

