「……あ、そこの段ボールの中……」
「ボス猿」
「なっ……!? その呼び方やめなさいよ!?」
「困った時はお互いさまっていうよね?」
「それ、お前には縁遠い言葉だから!」
ごちゃごちゃうっさい!
有無を言わせず腕を引っ張って、段ボール箱の中から白雪姫の衣装を取り出した。
ボス猿の体に合わせてみれば、やはり男子用に作られたせいでちょっと大きそう。
まあ阿部くんは細身だし、背もそんなに高くないからでかすぎるってこともないと思う。
「……ふう、あんたの姫ルックとか見るに堪えなさそう……」
「はあ!? し、心配しなくてもそんなの着る機会ないっつーの!」
「まあ背に腹は代えられないか……」
「え?」
「これ、着て」
「ぶへっ」
ボス猿の顔に白雪ドレスを押しつけて、教室の扉のところでぼけっと突っ立ってる早川を見た。
……背に腹は代えられない。代えられない。けど。
あいつに頼るのはなんか癪だ。
段ボール箱の中を睨みつけて、数秒悩んだあとに白馬のマスクを引っ掴んで、軽く舌打ちした。

