だから言ってんのに。もっと嫌な女になれって。
どうせ文句も言わずに引き受けたんだろう。
今頃半泣きになっているに違いない。ザマーミロ。
「――あ、藤島、遅えじゃん! 心配して今から突入しようとしてたんだけど」
「……いっそ突入してきてくれたら心おきなく警察に突きだせたんだけどな」
「ひっでー! ……って、どこ行くん藤島?」
トイレを出て廊下を早足で進めば、相変わらずキモイことばっか言う早川が後ろをついてきた。
その問いには答えずに、無意識に加速してほとんど全力疾走で自分の教室に駆けこむ。
自分がなんでこんなに一生懸命走っているのか、わけがわからないまま。
教室には相変わらず人は数人しかいなくて、その女子の中心にボス猿を見つけた。
ナイスタイミング。今ほどあんたの存在を愛おしいと思ったことはないよ。……嘘盛った。愛おしくは思ってない。
「昨日の衣装、どこ!」
「は? 何、いきなり……」
「だから、衣装! どこにしまったかって聞いてんの!」
その大して細くもない腕を引っ張って立たせ、怒鳴るように訊けば彼女はビビったように一瞬狼狽える。

