「チナミもやることえげつないよねー、ほとんどの仕事あいつに押し付けてシフト抜けてくるなんてさあ」
「やっだー、人聞き悪いじゃん! 川端ができるっつったんだよ」
「いやでも実際、ホール1人で回すのはきついっしょー。ま、川端がやるっつったんならしょうがないだろうけど?」
「あんたも性格悪いよ!」
ギャハハと再び大爆笑した二人組は、やっとトイレを出ていってくれたみたいで。
声は少しすると聞こえなくなった。
……あーん、いやーなこと聞いちゃったよ。
個室を出て、さっきまでチナミとそのお供がいたであろう鏡の前に立てば、キツイ香水の匂いが鼻をかすめて吐き気がした。
学校祭始まったばっかで、あんなにカフェが混んでた理由は人出が足りてなかったからか。
あいつらがサボったせいか。不器用な川端さんが一人で回してたせいか。
ポッケの中のスマホを取り出して電源をつけるけれど、誰からも着信やメールは届いていなかった。
……川端さんは、私を頼らない。
ホール一人で回すのなんて絶対大変なのに。バカじゃないの。

