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その後劇は無事最後まで上演され、客の反応も悪くなかった。


私の指導のおかげか、出来もよかったと思う。


少なくとも弟の学芸会よりはマシな演技してたんじゃないの。



劇が成功し、ボス猿が至極嫌そうなあの顔で、また私に「なんだかんだ劇でも楽しかった、ありがとう」みたいなことを言ってきて鳥肌が立ったけど、

何故か自分のことみたいに嬉しそうに笑う早川の顔を見て、言い訳も何も言えなくなった。



たまには大人しく感謝されてやるのも悪くないな、とか、思ったり思わなかったり。




――ちなみに川端さんの姿はざっとみた客席の中にはなく、ほんの少しだけ心臓が痛くなった。


けど、林檎とタマネギがすり替わっていることに気付いたステージ上での阿部くんの反応が死ぬほど面白かったから、深く考えるのはやめにする。



……明日、私の方から謝りに行こう。




考えて緊張していれば、それを見透かしたかのように早川がそばにきて、

「藤島なら大丈夫」

ぽんと私の背中をたたいて屈託なく笑ってくれた。




……全部分かってるみたいな顔しやがって、本当、ムカつく。