「もうここらへんでいいよ」
正直あっち方面の地理はいまいち分からなかったから助かったけど、もう見知った道に出たから大丈夫だ。
学校のすぐそばまで来たところで立ち止まって言えば、翔くんは私の数歩先で止まった。
こうして見ると足長いな。モデルみたい。多分私も負けてないけど。
「家まで送るよ、別に」
「まだ明るいから平気」
「いいよ、俺が心配だから」
「違う、私が迷惑。一人の方が楽」
そこは譲らない。
翔くんだって早川や川端さんといるよりはマシってだけで、自分から関わろうとは思ってないもん。
きっぱり言えば、若干困ったように翔くんは笑って、私のとこまで歩いてきた。
「……藤島がそう言うなら帰るけど」
「さすが翔くん、物分かりがよくて助かる」
これが普通なのに、ここ最近しつこい人間に慣れてしまっていたためか、ちょっと感動までしてしまう。