恋する黒猫




…面倒臭い



「ちょっと〜!陽向〜!」



後ろから追いかけてくる誠司。



「助けてやったのに置いて帰るのはさすがに酷いでしょ?」


ケラケラ笑いながら隣を歩く。



「あぁ…わりぃな」



いつもそうだ。


なんだかんだ言って誠司にはよく助けられる。



「お〜、陽向が謝るなんて珍しい」


感心したように瞬きを繰り返す誠司。




「…本当にゴミ箱に捨てるぞ」



礼を言った俺が馬鹿だった



「あははっ!ごめんって!」


ちょっとからかいすぎた〜!なんて言って楽しそうに笑い先に行く誠司。


…あいつ、今度絶対に捨ててやる




でも、本当に誠司には感謝してるんだ。




中学の頃、俺は凄く荒れていてどうしょうもない問題児だった。

まぁ、それは今も変わらないんだけど。



別にそこらにいるヤンキーとかただのチャラい奴とかじゃない。



家庭環境というのかとにかく俺の親戚や親とか、まぁ色々複雑なんだ。



それで中学2年のとき、生まれ育ちの地元から遠く離れ、俺はこの街に引っ越しをしてきた。


前の所では少しイザコザがあって、俺の周りには誰も寄り付かなくなった。


それで、家から30分ぐらい歩いたところにある新しい中学に転入した。




俺の問題は教師を通じて学校にすぐに知れ渡った。


転入早々周りの目が気持ち悪かったのを今でも覚えている。



担任でもなく、隣の席の奴でもなく全く知らない奴が俺に話しかけてきた。



『お前、面白そうだね〜』って。



それが誠司との出会い。



そう言って誠司はクラスで爆笑したんだ。



そんな誠司に俺は『お前は変な奴だな』って答えたんだよ。



そしたら誠司は得意げな顔をして、まるで自慢するみたいに言ったんだ。


『俺ら今日から家族な!』って。



可笑しいだろ?

初対面なのに普通こんなこと言うか?

ましてや、問題のある奴なのに。






色々あった今、こうして誠司を信じられるのは多分、あのとき声をかけてくれたからだと思う。



だから、感謝してるんだ。


いつもいつも。





「お〜い!ひーなぁーちゃん!」


「…あ?」


「わっ!怖っ!」



なんて言って、逃げようとする誠司の首を掴んだ。


「…どこ行く」


「え…?あー…いやぁ、ちょっと?」



なんで最後は疑問形になるんだよ



「空き教室、行くんだろ」


「そうだよ〜!あ、げ!陽向、時間ない!!」


携帯の画面を俺の顔に近づける。


「わかったわかった」


「千聖が怒る〜!」


早く行こうぜ〜?と、言いつつもちんたら歩く誠司。



ゲシッ!!

「ぅいっで!」


気だるそうに歩く誠司の背中に蹴り一発。



変な声出しやがって



「とっとと行くぞ」


「え〜…蹴ってそれって酷くない〜?」


「うるせぇ、文句言うな。

…千聖が怒るんだろ」


「あ、忘れてた!」


テヘッと下を出す。


「…その舌引きぬくぞ」


「ひでっ!」