コンコン
「はい」
分厚い扉を叩くと中から声がした。
「ヒロさん」
「あぁ、お前か」
ガチャ
僕が名前を呼ぶと、納得したような声が聞こえて、扉が開いた。
一瞬、夢を見て目を見開いたヒロさん。
「……入れ」
「失礼します」
バタンッ
ヒロさんは僕達が入ると強く扉を閉めた。
やっぱり、ヒロさんも夢が学校に来たことを知らない?
はぁ…と溜息をつくヒロさんに少しだけ同情する。
「夢、おいで」
「…あ、ヒロ」
名前を呼ばれた夢は、僕の腕の中から降りてヒロさんの元へ小走りに走って行く。
ヒロさんには勝てない、よな…。
子猫が親猫を見つけた様に、夢はヒロさんに擦り寄った。
「お前、なんで学校に来た」
「…ごめんなさい」
「謝れと言っているんじゃない。訳を聞いているんだ」
「……隆と喧嘩した。だから…来た」
隆と喧嘩した…?
「…どうやって来た。車か?」
「ううん。歩いて」
「とにかく、帰りは一緒に帰るから。分かったな?…さてと。おい、千聖」
夢とヒロさんのやり取りに耳を傾けていた僕は、急に呼ばれハッとした。
「はい」
「今日、倉庫行くのか」
「…はい」
「チッ…。それ、休めねえか?」
舌打ちをして眉間にシワを寄せたまま聞くヒロさん。
いや、舌打ちをしたい気持ちは分からなくないですよ。
「大丈夫です。夢といますから。倉庫には断りの連絡を入れておきますよ」
「そうしてくれると助かる」
そりゃそうだ。
ヒロさんは僕達の育て親でもあり、学校の理事長なんだ。仕事だって山ほどあるに決まっている。
大丈夫だろう。
夢には僕がつくから何も起きないだろう。
「夢、千聖といろ」
「わかった」
「いい子にしてろよ」
「うん」
「じゃあ、夢行こう」
「はーい」
僕は夢の手を引いて理事長室を後にした。

