優奈ちゃんは私と会うなり、眉間に皺を寄せて俯いた。



「どうかしたの…?」




「奈緒さん…ごめんなさい。こんな事、奈緒さんにしか頼めなくて…」




突然深刻そうな顔をする優奈ちゃんに、私はドキドキしていた。



なぜか嫌な予感がしたから。




「今日…杉田さんとご飯食べる約束しちゃってて…」




「え!?杉田さんって…あの取引先の…?」




「はい…この前事務所にかかってきた電話なんですけど…実は一緒に食事してくれるなら契約してもいいって言われて…」




「うそ…だってその前に契約結んだはずじゃ…」




「本契約は次回だったので…あの時は口約束だけでしたし…」




「そんな!こんなこと、陸さんが黙ってないよ!?陸さんに相談して…」




「いえ!…陸には黙っててくださいっ」