優奈ちゃんのために―――。
「奈緒ッ!」
栞がコソコソとキッチンにやってきた。
そして「ちょっとこっちきて!」と、固まっていた私の腕を引っ張り、玄関の方に連れて行かれた。
「龍神ってかなりやばい奴らだよ!?昔先輩が半殺しにされて半身不随になったんだもん!大丈夫なの!?」
頷くことができなかった。
陸さんの事も心配だけど、優奈ちゃんのためにそこまでするんだって思ったらまた胸がぎゅーって締め付けられた。
私も助けてあげたいとは思う。
でも…もういい加減にしてほしいとも思っちゃう私はひどい人間なのかな。
「奈緒…またなんか悩んでるでしょ…?」
「ううん、大丈夫っ…」
私は栞に笑顔を見せた。
妊婦の栞にはあまり心配かけさせたくない。



