君と手を繋ぎたくて










「天使ちゃん…?」

「優志知らねーのかよ。
3年の先輩に、天使ちゃんって呼ばれている女の先輩いるじゃねーか」

「……いたっけ、そんな人」




首を少しだけ右に傾ける先輩。

か、可愛い!




ていうか先輩、天使ちゃんを知らないんだ。

あたしも本名は知らないけど、かなり有名な先輩だよね。

見た目や言動が天使に似ているから、天使ちゃんってあだ名がついたんだよね。

あたしも数回校舎内ですれ違ったことあるけど、確かに天使って名前が似合う可愛らしい先輩だったな。




村木先輩、天使ちゃんに告白されたんだ…。

あんなに可愛い先輩だもの。

断る人なんて、いないよね…。

あー、あたし失恋かぁ。





「…そういえばそんな先輩いたかも」

「返事はどうしたんだよー」

「断ったよ」




断る人、いた―――!

しかもあたしが恋した先輩が!

アッサリと、先輩は天使ちゃんの告白を断ったと爆弾発言した。

失恋は回避したけど…。



珍しいな。

天使ちゃんの告白を断るなんて。