そして、華子に触れられた手を握る。
駄目だ。
駄目だ。
頭ではわかっているんだけど。
―――心が追いついていない。
このままじゃ、駄目だ。
わかってはいるんだ。
駄目だってこと。
嫌だってほど、わかっているんだ。
それだけど。
―――まだ、駄目なんだ。
俺はゆっくりと息を吐いた。
そして立ちあがり、教室へと戻る。
授業中の教室の後ろを通り、自分の席へ向かう。
「あれ?
ユウシどうしたの?」
「ん?
…ちょっと、な」
「ふーん。
トイレとか?」
「そんな感じ。
華子、そんなことより前向けよ。
先生に叱られるぞ」
「大丈夫だよ!」
「何が大丈夫なんだ、島田(しまだ)」
「あ、センセ……」
「前を向け。
村木に迷惑をかけるな」
「はぁーい」
華子は俺を見て舌を出すと、前を向いた。
……こんなので、良いのかな…俺。
俺は静かに溜息をついた。