「優志。お前もしかして―――」

「何だよ」

「男が好きなのか?」




オレが聞くと、優志が「馬鹿か!」と叫んだ。

優志が声を荒げることは珍しい。

普段優志は話さねーし、喜怒哀楽も表さないから。





「同性愛とかに、俺は興味ない」

「男と女、付き合うなら?」

「女に決まっているだろ」




良かった。

優志が普通で。

男が好きだとか言われていたら、オレどうしていたんだろ。

陽菜乃ちゃんが聞いたらどう思ったんだろ。





「変な趣味は持っていない」

「良かったぜ」

「…………」




優志が冷めた瞳を向けてくる。

…何だかオレ、優志に可哀想な男扱いされてねーか?




優志は色々考えるオレを置いて、自分の席である窓側の1番後ろに腰かけた。

そして頬杖をついて、ぼんやりと窓の外の景色を眺めていた。

クラスの女子たちが、そんな優志を見てキャーキャー騒いでいたけど。





オレにはその光景が、凄く寂しく思えたんだ。

なぁ、優志。

―――お前は、何を抱えている?

それを、オレが知ることは、出来るのか?