彼女はしゅん、と肩を落とし俯いた。
…何故だろう。
置いて行けなくなっちまった。
このまま置いて行けばいいのに。
「あっそ、じゃ待ってれば」なんて言えば良いのに。
そうしたら早く家に帰れるのに。
「…じゃ、行くか救護室」
「へ?」
「別に行かなくて良いんだけど。
アンタの暇つぶし程度になるなら、付き合ってやっても良いけど」
「…何ですか、その上から目線」
「俺と暇つぶししたくなければ、別に良いけど」
「いえ、行きましょう!」
彼女が踵を返し、俺はその後をゆっくり追いかけた。
途中で何回も彼女は振り向き、俺がいることを確認しては笑った。
…花の咲いたような可愛い笑顔に、俺は少しだけドキッとした。
…違う。
似て、ない。
雛乃とこの子、似てない。
似ているのに。
双子か、親戚かって思えるぐらい。
笑顔が、似ていない。
彼女の方が、柔らかい。
柔らかいのに、1人でも立派に立てそうなその笑顔。
…知りたいと思った。
彼女が何故、そんな笑顔でいられるのか。


