最初は笑顔を浮かべて出てきてくれたイケメンくんだけど。
あたしが何も言わないで突っ立っているのを見て、どんどんイケメンの顔が歪んでいく。
「……あの、どちら様ですか」
「あのっ、あたし、えと」
「御用がないならお帰りください」
「待って待って!
用事ならあります、あります!」
「…何の御用ですか」
「ゆ、優志先輩いますか!?」
「……ファンの人?」
「違います!
優志先輩いるのなら、言ってください。
あたしは、山口陽菜乃です!」
「はああぁぁぁああ!?」
名前を名乗った途端、イケメンアイス少年は、近所迷惑なぐらい叫んだ。
思わず両手で両耳を押さえる。
「幽霊!?
うわ、本当にいるんだ!?
オカルト的な存在は信じていねーけど…」
…どうやらイケメンアイス少年は、あたしを山口雛乃さんと勘違いしたらしい。
確かに雛乃さんは亡くなっているから、現れたら幽霊なんだけど。
あたしは同じ発音でも漢字が違う、山口陽菜乃だ。
同じ名前に同じ顔って、面倒だなぁ。


