君と手を繋ぎたくて








「陽菜乃ちゃん……?」




一気に体温が上がって、俯いたあたしの名前を呼ぶ村木先輩。




「ご、ごめんなさい!
今の、忘れてください!!」





恥ずかしい。

恥ずかしい。

何で告白しちゃっているわけ!?

後先考えないで。

しかもこんな大勢集まる校門付近でなんて。

言われた先輩の気持ちも考えなくちゃいけないのに。





「陽菜乃ちゃん!」





校舎へ一目散に戻ろうとしたあたしの腕を掴む、村木先輩。

ガシッと力強く掴まれた腕が、徐々に熱くなっていく。





「陽菜乃ちゃん待って。
今の、どういう意味?」

「忘れてください先輩っ!」

「陽菜乃ちゃん。単刀直入に聞く」





先輩の綺麗な瞳に、あたしが映りこむ。

あたしの瞳にも、先輩が映っているだろう。