「勿体ねーなぁ。
折角の天使ちゃんからの告白なのによ。
優志、お前彼女いたっけ?」
あたしを見ながらニヤッと悪魔のような微笑みを浮かべた佐竹先輩。
あたしが村木先輩を好きだって佐竹先輩は知っている。
それなのに…佐竹先輩酷い!
「……いないよ」
何故か少し寂しそうな笑みを浮かべながら答える先輩。
…もしかして、誰か忘れられない彼女でもいるのかな?
あの子が忘れられないから、先輩は誰とも付き合わないとか…。
「じゃあ、陽菜乃ちゃんどーよ?」
「……え?」
佐竹先輩の問いに、あたしを見る村木先輩。
ていうか先輩、あたしが陽菜乃って知っているんだ。
まぁよく環奈が佐竹先輩に会いに行きたいからって、あたしも一緒に2学年の廊下に行くんだよね。
大体佐竹先輩は村木先輩と一緒にいるから、自然とそこで村木先輩にも会う。
環奈は付き添っているあたしを放置して彼氏とイチャつくから、自然とあたしは村木先輩と2人きりになる。
緊張してあたしは普段饒舌だけど黙り込んでしまい、先輩も口数が多い方ではないから、沈黙が広がるだけで、会話という会話をしたことはないけど。
先輩は入学式で、あたしと会ったことを覚えているみたいだから。
…まぁあのシチュエーションじゃ、覚えているか。
名前も自然に覚えてしまったのだろう。
その点では、バカップルに感謝だよね。


