部屋の外が騒がしくなる。


多分ERICAを捕まえるために警察が居るんだろう。


そんな時、



ーコンコンー


部屋がノックされた。


「はい?」


「お嬢様?


メイドの皐月です。」


「はい、どうぞ。」



「失礼致します。」


そう言って彼女は入ってきた。


その時彼女は目を大きく見開いた。



「……かい…り?」



「え?


…そぉだけど…どぉしたの?」


その後、皐月さんはポロポロ涙を流し、


私を抱きしめた。


「海鈴、海鈴。」



…なんども、私の名前を呼びながら。

その時やっと私は気づいた。

「…あなた…だれ?」


皐月さんは、クールで、しっかり者で、

涙など見せるような人じゃなかった。

それに、私の名前を呼ぶ声が皐月さんの声ではなかった。


どこか懐かしい…


あの声。




「ごめんね、海鈴。


ごめんね。


お母さん。怪盗で。」



…え?


「…あの、どういう事ですか?」



「…実は…」


ーコンコンー


「お嬢様!

ご無事ですか?」


メイドの一人が外からそう言った。

私は皐月さんの格好をした誰かさんをチラリと見て。

「はい、大丈夫です。」



と、答えた。

メイドは
「そうですか。」


と、言ってどこかへ行った。



「…この話の続きはまた今度。」




そう言って、彼女は窓から真っ黒な羽を広げ、飛んでいった。