「初めはそうだったんだよな。お前のことを見てないと心配だったし、俺も寂しかった。んでも……何かなぁ、そのうち、何つーか。庇護欲っつーか、おりんは俺が守らねぇとっていう思いが強くなって……」
照れたように、貫七が頭を掻く。
おりんも、ちょっと落ち着きなく視線を逸らせた。
『ま、まぁ、あれから十年だもんね。猫の寿命を考えりゃ、そらぁ庇護欲も強くならぁ』
「不吉なこと言うなよ。でも、確かに。そうなんだよ、そうだよな」
うんうんと、自分に言い聞かせるように、貫七が頷く。
貫七も、自分がおりんを想う気持ちに、少し戸惑っているようだ。
「でもやっぱ、同じ時を過ごせねぇってのは嫌だな。俺も猫だったら、もう猫としてお前と暮らしたかもしれねぇが」
ぼそ、と貫七が言う。
おりんは貫七の肩の上で、じ、と彼の横顔を見た。
一緒に拘る、というのは、何も行動だけではないのだ。
一緒に過ごす、ということに拘る。
普通の暮らしも、生きる時間もだ。
言ってしまえば、おりんが猫として死んでしまっても、貫七の生が縮むわけではない。
貫七は、おそらく何ら影響なく、人としての生を全う出来るだろう。
『貫七は、おいらの命が随分短くなったから、一緒にいることに拘るの?』
「う~ん……。何だろなぁ。うん、そう……かな。そうなんだろうな」
相変わらず照れ臭そうに、貫七はがりがりと頭を掻く。
---貫七も一応、いろんなものを感じる力はあるもんね---
密かに思い、おりんは話を打ち切った。
照れたように、貫七が頭を掻く。
おりんも、ちょっと落ち着きなく視線を逸らせた。
『ま、まぁ、あれから十年だもんね。猫の寿命を考えりゃ、そらぁ庇護欲も強くならぁ』
「不吉なこと言うなよ。でも、確かに。そうなんだよ、そうだよな」
うんうんと、自分に言い聞かせるように、貫七が頷く。
貫七も、自分がおりんを想う気持ちに、少し戸惑っているようだ。
「でもやっぱ、同じ時を過ごせねぇってのは嫌だな。俺も猫だったら、もう猫としてお前と暮らしたかもしれねぇが」
ぼそ、と貫七が言う。
おりんは貫七の肩の上で、じ、と彼の横顔を見た。
一緒に拘る、というのは、何も行動だけではないのだ。
一緒に過ごす、ということに拘る。
普通の暮らしも、生きる時間もだ。
言ってしまえば、おりんが猫として死んでしまっても、貫七の生が縮むわけではない。
貫七は、おそらく何ら影響なく、人としての生を全う出来るだろう。
『貫七は、おいらの命が随分短くなったから、一緒にいることに拘るの?』
「う~ん……。何だろなぁ。うん、そう……かな。そうなんだろうな」
相変わらず照れ臭そうに、貫七はがりがりと頭を掻く。
---貫七も一応、いろんなものを感じる力はあるもんね---
密かに思い、おりんは話を打ち切った。


