しばらく二人は、見つめ合ったまま考え込んだ。

『政吉は、初めからそのつもりだったのかな』

「……どうかな。でもお嬢さんを女にするってのは、俺が出した案だが。それからも、ちょっと渋ってたし」

 だが渋っていたのは演技かもしれない。
 いきなり乗り気になるのも、お嬢さんに仕える身としては不自然だし。

 が、お嬢さんを女にする、という案を出したときの驚きようは、嘘とは思えない。
 貫七がそういうことを言うように誘導された感じもない。

「多分、お嬢さん自体を女にしてしまおうっていうのは、本当に考えてなかったんじゃねぇかな」

 政吉の行動などを思い返しながら、貫七が呟いた。
 おりんも、う~ん、と考え、小さく頷く。

『そうだね。おいら、途中からしか聞いてなかったけど、あの一連の流れでは、政吉が嘘ついてるところとかは、なかったと思うし』

 ということは、やはり政吉には、お嬢さんを女に変えるという考えはなかったのだ。

『もしかして……』

 おりんが、目を見開いて貫七を見る。

『あいつ、お嬢さんのこと、本気で好きなんじゃない?』

「いやだから、女に変えるって頭はなかったって」