---そういえば、この猫の寿命が尽きたとき、このままだとおいらは死んじゃうみたいだけど、そうすると貫七はどうなるんだろう? 何も変わらないのかな。おいらの外見的要素ってのも消え失せるのかな---

 先のことを考えると、どうしても寂しくなる。
 おりんに残された時間は、そう長くないのだ。

 人と違い、猫の寿命は短い。
 すでに十年経っている。
 この猫も乗り移ったときに生まれ落ちたわけではないのだから、すでに老描だ。

---この猫が死にかけたら、もう一回行者に他の器に移し替えて貰うって手もあるけど---

 行者曰く、瀕死のものは、すでに魂が抜けかけているので、そこから抜くことは難しいことではないらしい。
 だからおりんの魂を、猫に封じることも出来たのだ。

 だが猫が死にかけたと同時に、都合よく行者の元へ戻れる保証はないし、そうそう何度も器の移動が出来るのかも定かでない。

 考えに沈んでいたおりんは、いつしか貫七が思い切り上体を折って己を覗き込んでいるのにも気付かなかった。

「どうしたぃ? 不味いのか?」

 かけられた声に、慌てておりんは顔を上げた。
 好意で出してくれた飯に対して、何と言うことを言うのだ。