無理に明るく振る舞う(演技をする)貫七に、女は思い詰めた目で、力強く首を振った。
「何か困ってるんだったら、相談に乗るよ。あたし、ここで店出して長いんだ。ここは稲荷社の総本山だもの、庶民の味方だよ?」
何も女が宮司なわけでもあるまいに。
だが長くここで参拝客を見てきたというのは使えるかもしれない。
貫七はしばらく飯を掻き込んでいたが、やがて、ふぅ、と息をついた。
「いや何ね、何でも知り合いの仕えてる家の奥方が、男児を産みたいばかりに必死なんだそうでよ。そういうのに効くって食い物とかを小耳に挟んじゃ、どんな妙なもんでも買いに行かされるとかで参ってるんだよ」
「へぇ? 跡取りのこととかかねぇ。別に武家でもないんだし、娘だって婿貰えばいいだろうに」
「婿を取るにゃ、店もてめぇの容姿も微妙なんだろうよ。まぁその辺りはどうでもいいんだがな、仕えてる知り合いにとっちゃいい迷惑みたいで、ほとほと参ってるんだよ。で、何か産み分けに強い術者が、ここいらにいるって聞いたんでよ」
「……兄さんは関係ないんだろ?」
「まぁな。でもそんなことを奥方の耳に入れちゃ、それこそ大騒ぎだ。そんなもん、眉唾ものに決まってらぁな。けど奥方にとっちゃ一大事だってんで、まぁ真偽のほどを確認しに、全く関係のない俺が出向いたってわけさ」
いかにも興味はない、というように、軽く言って肩を竦める。
「何か困ってるんだったら、相談に乗るよ。あたし、ここで店出して長いんだ。ここは稲荷社の総本山だもの、庶民の味方だよ?」
何も女が宮司なわけでもあるまいに。
だが長くここで参拝客を見てきたというのは使えるかもしれない。
貫七はしばらく飯を掻き込んでいたが、やがて、ふぅ、と息をついた。
「いや何ね、何でも知り合いの仕えてる家の奥方が、男児を産みたいばかりに必死なんだそうでよ。そういうのに効くって食い物とかを小耳に挟んじゃ、どんな妙なもんでも買いに行かされるとかで参ってるんだよ」
「へぇ? 跡取りのこととかかねぇ。別に武家でもないんだし、娘だって婿貰えばいいだろうに」
「婿を取るにゃ、店もてめぇの容姿も微妙なんだろうよ。まぁその辺りはどうでもいいんだがな、仕えてる知り合いにとっちゃいい迷惑みたいで、ほとほと参ってるんだよ。で、何か産み分けに強い術者が、ここいらにいるって聞いたんでよ」
「……兄さんは関係ないんだろ?」
「まぁな。でもそんなことを奥方の耳に入れちゃ、それこそ大騒ぎだ。そんなもん、眉唾ものに決まってらぁな。けど奥方にとっちゃ一大事だってんで、まぁ真偽のほどを確認しに、全く関係のない俺が出向いたってわけさ」
いかにも興味はない、というように、軽く言って肩を竦める。


