---貫七だって、女装出来ないわけでもないよな。綺麗な顔してるんだし---

 じ、とお嬢さんの膝の上から貫七を見る。
 他を威圧するような美貌だ。

 が、それとて仮の姿ともいえるのだ。
 貫七だって、今の姿が本来の姿ではない。

---そんなに劇的に変わることはないだろうけどね。元々、造りは悪くなかったし---

 男嫌いのお嬢さんをも、一瞬目を奪われたのだ。
 二人分の外見的要素とはいえ、そこまで良くなるということは、そもそも元が良かったのだ。

---おいらのほうがダントツに良かったのかもだけどね---

 その辺りはわからない。
 外見的要素が二人分合わさった、とはいっても、親子関係のようなものではないようなのだし。

---とにかくおいらは、このお嬢さんがどう考えてるのかを知りたいんだよっ---

 同じような立場故に、おりんはお嬢さんの本心を聞いてみたいと思った。
 だが猫故に、それが出来ない。
 歯痒い限りである。

---部屋も一緒だし、こんな状態が続いたら、おいら人語忘れちゃうよ---

 心の中で、ぶつぶつと文句を垂れる。
 早く貫七と二人になりたい。
 その思いが聞こえたかのように、考え込んでいた貫七が、ひょいと顔を上げた。

「ま、悩んでても仕方ねぇ。とりあえず、情報収集と行こうや。町を歩きつつ、聞き込み開始だ」

 そう言って立ち上がる。
 すかさずおりんは、お嬢さんの膝を蹴って、貫七に飛びついた。
 そのままするすると、肩に登る。

「……随分懐いてるんですねぇ」

「ああ。こいつは俺がいないと駄目なんでね」

 へら、と笑う貫七に、肩の上のおりんは、ぴくっと前足を動かした。
 猫パンチをお見舞いしてやろうかと思ったのだが、思いとどまる。

---確かにおいら、貫七がいないと生きて行けないもんね……---

 ちょっとしょぼんと、肩で丸まる。
 おりんを肩に乗せたまま、貫七は部屋を出て町へ繰り出した。