---よくないよなぁ。立場は違うけど、何かちょっと、わかるような気がする---

 このまま生きて行くことは出来ないのだ。
 現状のまま生きて行くには、先の人生の全てを諦めるしかない。

 今は、仮の姿。
 本来の姿を取り戻すのは、無理かもしれない可能性も高いのだ。
 無気力になってしまう気持ちも、わからないでもないが。

---でもおいらは、諦めたりしないもんっ! こんな悲観的にもならないよ!---

 ふん、と鼻息を荒くする。
 おりんが今まで猫でも生きてこられたのは、貫七のお蔭でもある。

 初めこそ、猫の自分に戸惑ったり泣いたりしたが、貫七は人間のときと変わらず接してくれた。
 責任を感じていたのもあるのだろうが、ずっと一緒に、変わらない態度でいてくれるのは、とてもありがたいことなのだ。
 お嬢さんには、そこまでの人物がいないのかもしれない。

---政吉だって、店のほうが大事なのかもしれないし。ていうかさ、こいつの場合は、自業自得って面もあるんだよな。面白がって女装をやめなかったのだって悪いんだよ---

 まぁここまで完璧に化けられる者もそういないだろうから、得意になるのもわからないでもないけど、と、おりんはお嬢さんを見上げる。
 間近で見ても、わからないほどなのだ。
 ちょっと化粧は濃いかもしれないが。