ふと、おりんが勢いよく顔を上げた。

「うみゃー! にゃにゃにゃ」

 貫七に向かって、何か必死で訴えている。
 思いついたことを、すぐに伝えられないのが悲しいところだ。
 政吉の前で、人語で喋るわけにはいかない。

「ん? 何だい、おりん」

「にゃにゃにゃにゃにゃ」

「ふむふむ? 娘さんがいくら男嫌いでも、この俺まで嫌うのはおかしいって?」

「うにゃにゃにゃにゃっ!」

「俺みてぇな色男を見ても何とも思わないなんざ、他に何かあるに違いない?」

「うみゃーーーっ!!」

 肩の上で、おりんが後足で立ち上がり、いつかのように、貫七に猫パンチを見舞った。
 どうやらそんなことを言いたいのではないらしい。

「いてぇなぁ。……わかってるって」

 へらへら笑う貫七を、政吉は微妙な顔で見つめる。
 確かに普通の猫よりは、貫七とちゃんと会話しているようにも思えるが。

「どう聞いても、猫語ですよね」

「はは。そりゃあ。でもまぁ、何となくわかるのさ」

 曖昧に言い、貫七は、ぱちんと指を鳴らした。

「性別を変えられるってんなら、いっそのこと、娘さんの性別を変えて貰っちゃどうだい?」

「……えっ」