「でもあの娘さんも、あの状態を結構楽しんでたんじゃねぇのか。板についてるぜ。この俺が、言われるまで女子と信じて疑わなかったぐらいだし」

「お嬢様も悪いのですがね。あんまり似合うもんで、まぁ男が引っかかるわけですよ。それをからかうのが面白いようで」

 貫七の顔が憮然となる。
 この自分も、引っかかった一人ということか。
 女ったらしとして、これほど屈辱的なことはない。

「とんでもねぇ野郎だ」

「性格が歪んでしまうのも、無理はないですよ。男であるのに、男として生きられない。世の男たちを憎んでしまっているんです」

「男嫌いってことかい」

「嫌いってなもんじゃない。本気で憎んでます」

 ふ~む、と貫七は腕組みして考えた。
 なるほど、そこまで男全般を憎んでいるなら、この貫七に何の反応もしないのも、わからないでもない。

「憎しみの前では、さすがの俺っちも効力なしかぁ」

 はぁ、とため息をつく。
 肩の上で、おりんが、ぷぷぷ、と笑った。

「でもよ、その囲い者から逃れたって、家を空けちゃ、向こうの思う壺だぜ。それこそいつまでもこんなところに引き籠ってちゃ、店乗っ取られちまう」

「そう……なんですが」

 とりあえず逃げ出したが、それでどうなるものでもない。