「何だい、そりゃ」

 若干吹き出しつつ、貫七は言った。
 眉唾ものも甚だしい。

「そんなことが、本気で出来ると思ってんのか。そんなことが出来るのなら、跡継ぎ問題なんざ、この世から消えてなくなるはずだぜ」

「確かにそうなんです。でも、その祈祷師というのは、本当にありとあらゆることを可能にするそうで。私も調べてみたんですが、まぁ……一部では、評判は凄いようで」

「他にもそういう、腹の子の性別を変えたってぇ奴がいたってことかい?」

 驚いたことに、政吉はこくりと頷いた。

「それで、その祈祷師にしっかり頼んだから、絶対に自分は男を産むって。で、その子を桔梗屋の跡取りに据えろって言うんですよ」

「……そうすりゃいいじゃねぇか。娘さんが男に戻れないってんなら、そいつに譲れば店は安泰だろ? 何か問題あんのかい」

「そんな、お嬢様のことも考えてくださいよ。本来はあの桔梗屋をしょって立つ立場でありながら、いきなりどこから現れたかもわからないような女の子供に店を乗っ取られるんですよ。男として生きることも許されず、そうなると店にもいられなくなるでしょう。こんなことがあっていいのでしょうか」

「まぁなぁ……。面白くはないだろう、とは思うが」

 何となく女装を解く機会を失ったまま、ずるずる来てしまったのであれば、不憫と言えないこともない。