「あの娘さんは、端から男だってぇのかい?」

 こくり、と政吉が頷く。
 貫七は思いっきり渋面で考え込んだ。

 女子を見る目には自信がある。
 というより、数日の間一緒にいたのだ。
 いくら間近に近づかなかったとはいえ、男と女の違いぐらい、どれだけ巧妙に化けようと、ここまでわからないはずはない。

「信じられないのも、無理はありませぬ。何せ、お嬢様の女装は年季が入っております故」

「年季?」

 また政吉は頷き、貫七の横の壁にもたれかかった。

「私が、いかにも自然に……若様のことを『お嬢様』というように、お嬢様……いえ、若様は、それはそれは長い年月、女として生きておられるのです。店の者の中でも、お嬢様が男だとは知らない者までいる始末です」

「店の者も知らねぇってか」

 確かにそれでは数日一緒にいただけでは、わからなくても無理はないかも、と納得する。
 しかしそれでも妙なことには変わりない。

「昔から、男子が生まれても女子の格好をさせて育てるって風習がありますでしょ。若様は、昔身体が弱かったことで、まぁ簡単に言えば、その期間が長かったってことです」

 高貴な家では、確かにそのような風習はある。
 貫七などは聞いたことがある程度だが、男子の乳児の死亡率が女子より高いため、魔除け的な意味合いで、男が生まれても女児の産着を着せて育てるのだ。