「何故そんなことを聞く。お前さん、修験者でもあるまい」

「め、滅相もない。私にそんな力があれば、何もわざわざお嬢様を連れて旅などしませぬ」

 いきなり政吉が、貫七に詰め寄った。
 その必死さから、どうやら政吉もそういった術者を探しているようだ。

「お嬢さんに、物の怪でも憑いたのかい」

 今までの流れからすると、そういうことになるのではないか。
 大店の娘が、何か世間様に知られてはならないような事態に陥ったのだろう。
 そう思った貫七だが、政吉は、少し首を傾げた。

「そう……だとしたら、そっちのほうが簡単かと」

「違うのかい?」

 意外な言葉だ。
 それ以外に何があるのだろう。

「実は……」

 政吉は、辺りを窺うように、きょろ、と見回すと、貫七に近づいた。
 口の横に手を当て、小声で囁く。

「先程、跡取りと申しましたでしょう。お嬢様は、男です」

「……は? ぁぁぁああああ?」

 貫七が、驚きの声を上げる。
 いや、実はこれも想定内だった。
 だが驚いたのは、政吉の物言いでは、娘は『元々男なのだ』ということになるからだ。

 昨夜のおりんの報告で、確かにそのようなことを聞いていた。
 おりんは『身体の感じが、男だった』と言ったのだ。
 
 だが見かけは女である。
 だから、物の怪でも憑いて、身体だけがおかしくなってしまったのだと、検討をつけていたのだ。
 それが……。