夜になり、布団の上で、貫七はおりんと向き合っていた。

「やっぱりおめぇ、気が進まないんじゃねぇの」

『う~ん、そりゃあ……』

「代わってやろうか?」

 へら、と笑う貫七に、おりんはちらりと目を向けた。

『貫七は、何も思わないのか』

「そんなことないぜ。まぁお前よりは、身体の抑制も効くしなぁ。何せ、経験豊富だから」

 軽く言う貫七だったが、おりんは特に怒るでもなく、冷めた目を向ける。

『そんなことはどうでもいい。あの娘っ子、物の怪かも』

「はぁ?」

『貫七、鈍くなったよねぇ。こんなところでぬくぬく暮らしてるからじゃないの』

「お前は動物の勘ってやつだろ。腕は落ちてないぜ」

『そうだといいけど』

 そう言って、おりんは揃えた前足の上に顎を乗せた。

『もうちょっと夜が更けたら、様子を見に行くよ』