「報酬じゃがの、わしは元々、さほど欲深くはないんよ。ただ働きは嫌なだけで。でもそれも、今回はなかなか面白かったし。けどのぅ、わしも木の葉も、おりんのことは気付いておった。木の葉はだからこそ、おりんを欲したわけで。わしは気に入った人間が不幸になるのは見たくない」

 そこまで言って、小薄はびし、と扇を貫七に突き付けた。

「おりんはしきりに、己が女だということを気にしておった。それはお主が気付いておらぬからじゃ。元の身体に戻ったら、当然もう年齢的にも全てが変わっておる。丸っきりの女子になった自分に、お主が引かないか。それだけが心配だったわけじゃな」

「……」

 言われて貫七は、ちらりと横に座っているおりんに目をやった。
 おりんは小薄が着ていた白い単を着、木の葉が丁寧に梳いた髪を軽く背でまとめている。
 まだ幼さの残る顔は、昔の面影を残しているとはいえ、やはり女子だ。

 俯いていたおりんも、ちら、と貫七に目を向けた。
 途端に、貫七の鼓動が跳ね上がる。
 慌てて貫七は、前を向いて視線を逸らせた。

「ほれ。そのようにおりんを悲しませるようであれば、わしはやはり、報酬としておりんを貰うぞ。木の葉の嫁としてな」

「えっ、やったぁ~」

 ばんざーい、と諸手を挙げて喜ぶ木の葉を、いきなり貫七が鋭い目で睨んだ。

「駄目だ!!」

 大声で叫ぶ。
 木の葉は下唇を思い切り突き出して、不満そうに貫七を見た。