「ほほ。なかなかかわゆらしい女子じゃの。魂も無事戻ったし、これにて一件落着かの?」

 ぽりぽりとおかきを齧りつつ、小薄が言う。
 は、と貫七が顔を上げた。

「ありがとうございました。……して、報酬のほどは……」

 深々と頭を下げて言う貫七に、小薄は相変わらず面白そうな目を投げた。
 そして、ちらりとおりんを見る。

「……のぅ貫七。おりんの姿を見て、どうじゃ?」

「は?」

「わしがお主の心を恋心じゃ、と言った意味がわかったじゃろ?」

 目を細めて言う小薄に、貫七はまた、赤くなって俯いた。
 あれれ、とおりんは、意外そうに貫七を盗み見た。

 誑しの貫七にしては、珍しい反応だ。
 そういえば、こんな反応、見たことはない。

「ふふふ……。案外お主も初心(うぶ)じゃのぅ」

 ずずず、と木の葉の淹れたお茶を飲み、小薄はいまだ貫七の膝にいる黒猫に手招きした。

「これはもう、元の単なる黒猫じゃな。木の葉はこいつで我慢することじゃ」

 そう言って、木の葉に黒猫を押し付ける。

「え~? おいらは別に、黒猫好きじゃないですよ~。おりんちゃんが入ってるから可愛かったのに~」

 ぶーぶー言いつつも、木の葉はじゃれる猫をわしわしと撫でる。
 まんざらでもなさそうだ。