何とも間抜けな話である。
 おりんの身体が血塗れだったのは、月のものが始まったからだ。

 本来おりんは十七だが、緩やかな成長によって、見た目は十二・三歳。
 だから特におかしいこともない、単なる成長の証だったのだ。

「太郎坊ともあろうものが、そのようなことも知らぬとは。貫七も、色恋に長けているとはいえ、女子の基本を知らぬようでは、まだまだじゃぞ」

 貫七の反応を面白そうに見ていた小薄が、扇を己の顎に当てて、にやにや笑う。
 そしてとっとと部屋の奥に座り、木の葉に茶を命じた。

「そうね。ほら、あんたたちも、いつまでもそんなところに突っ立ってないで。おりんちゃんも、まだ立ってるのはしんどいでしょ? 太郎坊様~、お茶っ葉どこ?」

 ちゃっかり上座に座った小薄の前におかきの重箱を置きながら、木の葉が声をかける。
 とりあえず太郎坊に促され、貫七とおりんも座った。
 そしてようやく、貫七は己が抱いている黒猫のことを思い出した。

「あ、じゃあこれは……」

「それはただの黒猫じゃ」

 ただの黒猫に向かって泣いていたということに、貫七が赤くなる。

「さ、じゃあとりあえず、おりんちゃん。身体の具合はどう? 何ともない?」

 木の葉がいそいそと、懐から出した葉っぱを一振りした。
 見る間にそれは櫛となる。
 こくりと頷くおりんの背後に回ると、木の葉は手際よく、おりんの髪を梳いていった。