「……お……おりんっ!!」

 目玉が落ちんばかりに目を見開き、貫七は、がばっと立ち上がると、だだだっとその影に駆け寄った。
 が、あと一歩、というところで、貫七の足がぴたりと止まる。

「……」

 見開いた目はそのままに、じいぃ~~~っと、その小柄な人物を凝視する。
 濡れた髪は膝辺りまであり、俯き加減の顔は、あまりよく見えない。

 だが。

「……え……?」

 透けるように白い肌。
 華奢な肢体。
 恥ずかしそうに伏せがちの、長いまつ毛の陰の、大きな目。

 そしてその華奢な身体は、女子特有の丸みを帯びていた。

「……っっ!!!」

 貫七が、大口を開ける。
 が、声は出ない。

 あまりの衝撃に、見たこともないような阿呆面で、貫七はひとしきり戻ったおりんを凝視した後、太郎坊に目を移した。

「しっ……師匠っ!!」

 びし、とおりんを指差して言う貫七に、太郎坊も頭を掻きつつ視線を彷徨わせた。

「わしも知らなんだ。考えてみれば、ヒトの身体のことは、よぅ知らんのじゃ」