「これ木の葉。わしが我慢しておるのに、お前が吹き出してどうする」

 笑いたいのを堪えているので、若干震える声で、小薄が言う。
 お狐様二匹は笑っているが、おりんはあまりの太郎坊の嘆きっぷりに笑えず、小薄の手から、とん、と床に降りた。
 そして項垂れる太郎坊の前に行き、そ、と床についた拳に前足を乗せる。

『お師匠。おいらは、大丈夫だよ。あのね、身体もきっと、大丈夫なの』

「し、しかし……。今まであのようなことは、なかったのだぞ?」

 ぐし、と涙を拭う太郎坊に、小薄は眉をハの字に下げて顔を近付けた。

「おお、そうそう。そういえば、おりんの身体のほうは、どのぐらいの大きさじゃ? 順調に成長しておれば、十七だとか? 貫七と同じぐらいに成長しておるか?」

 いろんなことを踏まえた上で、そんなことはなかろうが、と思いつつ、小薄が問う。
 太郎坊は、おりんを抱いて、のろのろと立ち上がった。

「ああ、そういえば、成長は穏やかにしかしておらぬ。それはまぁ仕方なかろう。今は普通の人でいうところの、十二、三歳ぐらいかの」

「ほおぉ、やっぱりね」

 家を出て行く太郎坊について行きながら、小薄は納得したように頷く。
 そして、ひょいと振り返った。

「木の葉よ。お前は貫七を見ておれ。そろそろ酔いも醒めるじゃろうが、おりんが無事に戻ってくるまで、その場で押さえておけよ」

「わかってますよ。頑張ってくださいね~」

 太郎坊とは正反対に、木の葉は軽く言い、傍の湯呑に沸かした湯を淹れている。
 一人お茶休憩に入るようだ。

「おかき、全て食うんじゃないぞ」

「はぁ~い」

 ひらひらと手を振る木の葉と転がる貫七を残し、小薄はおりんを抱いた太郎坊と共に、おりんの身体の元へと向かった。