「それは、血塗れだ、とかいう症状の、か?」

 太郎坊が、勢いよく頷く。

「おりんの身体は、少し先の洞窟内にある池に結界を張って沈めておる。この愛宕山の湧き水が溜まったものじゃから、濁りなく綺麗じゃし、身体を保つに、わしもさほど苦労はせなんだ。が、数日前からいきなり水に濁りが。何事かと思って調べてみると、おりんの身体から出血しておるではないか。当然おりんが動いたわけではない。結界内じゃから、外部から何かが入り込んだわけでもない。知らぬ間に、病魔に侵されておったとしか思えぬのじゃっ!」

 不覚!! と悔しがる太郎坊から、小薄はそっと顔を背けた。
 その口角が、不自然に上がっている。
 小薄の手の中のおりんも、微妙な顔で師匠を見た。

「えー……。出血は、どこからかわかっておるのか?」

 ごほん、と咳払いして込み上げる笑いを誤魔化し、小薄は床に両拳を打ち付けて項垂れる太郎坊に問うた。
 おりんが、きっと小薄を睨む。

「下肢からじゃ。きっと身体の中が蝕まれておるのじゃろう。すまぬ、おりん」

 やり切れなさそうに、項垂れたまま太郎坊が答えた。
 それに、耐えきれなくなった木の葉が、ぶは、と吹き出す。