「ちょい待ち。変に貫七を起こさんほうがいいのではないか? 今起きたら、貫七は一目散にお主の身体の元へ飛んで行こう」

 小薄の手の中で暴れていたおりんが、ぴたりと動きを止める。

「先に戻ってしまったほうが、良くないか?」

『……』

 おりんはじっとしたまま、じぃ、と貫七を見た。
 どうしたらいいのかわからず、悩んでいる。

「そんなに元の身体に戻るのに、躊躇することがあるのか? 貫七は、とにかくお前を戻すために、ずっと努力してきたのだろう?」

『だ、だって……』

「むしろ、良かったのではないかな、と、わしは思うがなぁ」

 何となく真剣な空気に口を挟めずにいた太郎坊が、小薄の手の中で項垂れるおりんを見つめて、ようやく声をかけた。

「あのぅ。おりんは……元気そうですのぅ。何ともないのか?」

 ぱ、と顔を上げ、おりんは懐かしい師匠を見た。
 こくりと頷く。

 一応ほっとした太郎坊だったが、それでも不安は拭えないらしい。
 太郎坊は小薄に目を戻した。

「小薄殿であれば、おりんを戻せような」

「そうじゃな。わしの神通力の強さは、お主も知っておろう」

「じゃが、おりんの身体は、どうやら病魔に侵されて……」

 ん、と小薄が首を傾げる。