「お前の術が半端だったんじゃないのか。気を失わすなら完全に失わしたほうが、こ奴にとっても楽であったろうに」

「だって完全に気を失われたら、雲に乗せるの大変ですもん。かといってお目目ぱっちりじゃ、雲の勢いに耐えられないだろうし」

 勝手なことを言いつつ、木の葉が重箱の蓋を開ける。
 そしてまだ外に呆然と立っている太郎坊に、ちょいちょいと手招きした。

「はい、太郎坊様もどうぞ~。ちょっと道中摘んじゃいましたけど、まだありますから」

 お土産だと言うわりには、すでに小薄はばりばりとおかきを頬張っている。
 木の葉はおりんを膝に乗せ、ゆすゆすと揺すって声をかけた。

「おりんちゃんは、そろそろ起きなさ~い。里に帰ってきたよ~」

『う……にゃ?』

 完全に寝ていたおりんのほうが、変に意識のあった貫七よりもマシだったようで、こしこしと目を擦りながら目を開けた。
 そして、きょろきょろと周りを見渡す。

『え……えええ? こ、ここって!』

 ぱ、と立ち上がり、もう一度周りを見回す。

『か、貫七っ! 帰ってきたよっ!』

 部屋の隅でまだ伸びている貫七に駆け寄り、おりんが叫ぶ。
 が、おりんが貫七に飛びつく前に、小薄がおりんを抱き上げた。