「おいらのところに来た人にはね、話を聞いてあげて、解決策を与えてあげるの。腹の子を無理やり弄るなんて、人の生を弄るのと変わらないよ。折角宿った我が子に、そんな酷いことすんのかってね。で、まぁこんこんと家のこととか周りの圧力とかの悩みを聞いてあげて、でもその上で己の考えがいかに愚かかを知らしめるのさ。子なんて、どちらでも愛おしいもんだって、最終的には持っていくの」
「そうか……。そう……ですよね。親であれば、子は可愛いもんですよね」
伊之介が、ぽつりと言う。
「両親も、私を大事にしてくれたからこそ、女子の格好で育ててたんですし。母がああなったのも、妹が可愛かったからですよね」
「おいのちゃん」
「でも、だったら何で、母上は私のことを見てくれなくなったんだろう? 妹としてしか私を見てない。女装を止めたら壊れるってのは、そういうことでしょう?」
ぼろ、と伊之介の瞳から涙が落ちる。
「母の中では、男の私は死んでるも同然だ。何故男の私は死んで良くて、妹は死んでも生きておかなきゃならないんだ。この差は何なんだ?」
「若様!」
ぼろぼろと涙を流しながら叫ぶ伊之介を、政吉が必死に宥める。
今まで押し殺してきた、伊之介の心の叫びだ。
皆しんみりと伊之介を見る中で、一人木の葉だけが、あれれ? と首を捻った。
「そうか……。そう……ですよね。親であれば、子は可愛いもんですよね」
伊之介が、ぽつりと言う。
「両親も、私を大事にしてくれたからこそ、女子の格好で育ててたんですし。母がああなったのも、妹が可愛かったからですよね」
「おいのちゃん」
「でも、だったら何で、母上は私のことを見てくれなくなったんだろう? 妹としてしか私を見てない。女装を止めたら壊れるってのは、そういうことでしょう?」
ぼろ、と伊之介の瞳から涙が落ちる。
「母の中では、男の私は死んでるも同然だ。何故男の私は死んで良くて、妹は死んでも生きておかなきゃならないんだ。この差は何なんだ?」
「若様!」
ぼろぼろと涙を流しながら叫ぶ伊之介を、政吉が必死に宥める。
今まで押し殺してきた、伊之介の心の叫びだ。
皆しんみりと伊之介を見る中で、一人木の葉だけが、あれれ? と首を捻った。


