「ふ~む、なるほどね。その若様が、女になりたいって?」

 何も言わないうちからずばりと言い当てられ、え、と政吉も伊之介も木の葉を見る。
 木の葉のほうは昨日すでに貫七から聞いているので知っていただけだが、そのようなことは知らない政吉たちは、神の使い故に、言わないまでも心の中を覗けてしまうのだ、と解釈する。
 あからさまに、凄い、という視線になって、木の葉を見た。

「普通はねぇ、そんな性別を変えたいなんて理不尽な願い、聞かないのよ。そらそうでしょ、そういうこと言ってくるのって、親だもの。跡継ぎとかあるから切実なのかもしれないけどさ、子の気持ちはどうなんだって話でしょ。希望と違うからって勝手に変えられちゃ、子が可哀想だっての」

 ぺらぺらと喋る木の葉に、政吉も伊之介もその場に膝を付いて聞き入っている。
 何となく、話の趣旨が違うような。

「は、はぁ。ごもっともですが、あの、私どもは、ちょっと違うんで……」

「ていうか、あの、あなたがもしかして、性別を変えられるっていう術者……?」

 伊之介が、政吉の後ろから気付いたように顔を上げた。
 あ、と木の葉が阿呆面になる。

「バレたか。んにゃ、術者ではないよ。さっきも言ったでしょ、おいらは巫子。れっきとした神様のお使いだからね、そんな外法は使わないよ」

 あんだけべらべら喋ればバレるのは当たり前なのだが。
 木の葉は認めつつも、術のことは否定する。