「俺のことなんざ、どうでもいい。お前は大丈夫なんだろうな?」

 覇気のない声で言う。
 傍から見たら、貫七のほうがよっぽど危うい。

 顔色も悪いし、足取りもおぼつかない。
 おりんは肩の上から、ずいっと貫七を覗き込んだ。

『もぅ、大丈夫だって言ってんだろ。お前のほうが、よっぽど病人だよ』

「いっそのこと、俺も病になりてぇよ。お前が死んじまったら、どうすりゃいいんだ」

『何言ってんだ! お前が病になったって、おいらが助かるわけでもなし』

「だから、せめて一緒に逝きたいんだよ」

『馬鹿っ!!』

 いきなりおりんが、ばちこん、と猫パンチを見舞った。

『何てこと言うんだよ! そんなこと、言うもんじゃないよっ』

「……俺がしてやれることって、それぐらいだろ」

 猫パンチを食らっても、特に反応せずに貫七は続ける。
 おりんは泣き叫ぶ勢いで、貫七にしがみついた。

『貫七には、十分良くして貰ってるよ! 何で貫七は、そんなにおいらと一緒にいたがるのさ。貫七だったら、おいらがいなくなっても、一人で十分やっていけるよ!』

「そうじゃねぇんだ。何でだろうな、俺はお前がいなくなるのは耐えられねぇ」

 ぽつりと、殴られて少し赤くなった頬を撫でて言う。

「特別なんだ」

 泣き出しそうな表情で言う貫七に、おりんは胸が締め付けられた。
 ここまで己のことを想ってくれるのは何故なのか。
 じわりと浮かんだ涙を、ぐい、と拭い、おりんはぎゅむ、と貫七に抱き付いた。

『……おいらはほんとに大丈夫だから。心配しないで』

 貫七は何も言わずに、そ、とおりんを抱き締めた。