「いや、それだけじゃねぇ。おいのちゃんが男だって知った上で、でも女装されるとそれを忘れるぐらいの完璧さだ。政吉さんは、女装したおいのちゃんに惚れちまってるんだな」
「か、貫七さんっ!!」
政吉が、慌てて身を乗り出す。
伊之介も、ちょっと驚いたように目を見開いた。
今まで散々女装で男をからかってきたが、それはあくまで束の間のお遊びだ。
その辺で会った初心(うぶ)な男を、ちらっとからかって遊ぶだけ。
男の姿も知っている政吉が、まさか自分に惚れているなど、思いもしない。
「政吉さんも悩んでたんだろ。別に男が好きなんじゃねぇ。なのに女装されるとおいのちゃんに惹かれちまう。だから、だったらおいのちゃんが女になれば、政吉さんの想いも報われるかもしれねぇだろ。で、そうなりゃおいのちゃんと一緒になって、店も政吉さんが継ぐことだって可能だ。旦那さんも、政吉さんなら許してくれるんじゃねぇか? そうすりゃ、ちゃあんと正妻の第一子であるおいのちゃんが店を継げる。女の出る幕もなくなる。何の問題もねぇ」
「……私が女になる決意をしたのは、貫七さんに惚れたからなんだけど」
頭の中で貫七の言ったことを考えながら、伊之介が言う。
「そうかもしれんが、そりゃ一時期の熱に浮かされただけだ。ちょいと冷静に考えりゃ、俺みてぇな何者かわからん根無し草が、大店の主になんて、なれるわけねぇことぐらいわかるだろ?」
「か、貫七さんっ!!」
政吉が、慌てて身を乗り出す。
伊之介も、ちょっと驚いたように目を見開いた。
今まで散々女装で男をからかってきたが、それはあくまで束の間のお遊びだ。
その辺で会った初心(うぶ)な男を、ちらっとからかって遊ぶだけ。
男の姿も知っている政吉が、まさか自分に惚れているなど、思いもしない。
「政吉さんも悩んでたんだろ。別に男が好きなんじゃねぇ。なのに女装されるとおいのちゃんに惹かれちまう。だから、だったらおいのちゃんが女になれば、政吉さんの想いも報われるかもしれねぇだろ。で、そうなりゃおいのちゃんと一緒になって、店も政吉さんが継ぐことだって可能だ。旦那さんも、政吉さんなら許してくれるんじゃねぇか? そうすりゃ、ちゃあんと正妻の第一子であるおいのちゃんが店を継げる。女の出る幕もなくなる。何の問題もねぇ」
「……私が女になる決意をしたのは、貫七さんに惚れたからなんだけど」
頭の中で貫七の言ったことを考えながら、伊之介が言う。
「そうかもしれんが、そりゃ一時期の熱に浮かされただけだ。ちょいと冷静に考えりゃ、俺みてぇな何者かわからん根無し草が、大店の主になんて、なれるわけねぇことぐらいわかるだろ?」


