「最近はね、私がすっかり女だから、母上も安心して、四六時中べったりじゃなくなったんだ。私の女っぷりも完璧だろ? もう母上の中では、ほんとに女なんだろうさ。だから、今回みたいな旅も許して貰えたんだよ」

「そうか。今回の旅の目的は、妾の子をどうにかするっていう、旦那からの依頼だったのかい?」

 そういやそもそもの旅の目的は何だったろうか、と貫七は首を傾げた。
 自分たちは別の目的があったので、政吉たちの目的はあまり気にしていなかった。
 ために、曖昧だ。

「お嬢さんの性別を変えるってのは、俺の提案だったよな?」

「そうですね。そういえばそもそもの旅の目的は、術者に会って、本当にそんなことが可能なのかを確かめることでした。本当に、女は男児を産むのか、ということの確認ですね。その後どうするのかまでは、考えてませんでした。術者を見つければ、連れ帰ることは考えましたけどね。旦那様に、今後のことを相談して貰おうという気もありましたし」

「そうかぁ……」

 一通りの話を聞き、貫七は大きく息を吐いた。
 ここまで聞いたからには、何とかしてやりたい。
 だが簡単には考えられない、大きな問題がいくつも絡んでいる。

「お嬢さんの問題に、奥方の問題。それに妾の問題に店の問題か」

 一人の人間の性別に、これだけのことがかかっている。
 己一人が我慢すれば、全て上手くいくのなら、誰しも我慢してしまうのではないか。