「俺はあんたが女になって、店のことも良く知っててお前さんのことも良く知ってる政吉さんが、今後も店を継ぐのが一番いいと思ってた。政吉さんほど適任者はいねぇぜ? 商才もあって、あんたのことも、正体もひっくるめて、ちゃあんと仕えてくれてる。旦那さんだって、政吉さんなら許してくれるんじゃねぇか?」

「「そ、そんな……」」

 政吉とお嬢さんが、二人同時に呟く。
 やはり政吉は、そこまで考えてはいなかったようだ。
 お嬢さんの今後のために、女になって婿を貰ったほうが、波風立てなくていいし、店のためにもいい、としか思わなかったらしい。

「政吉さんよ。あんたもほんと、欲のねぇお人だ。お嬢さんが女になった暁にゃ、手籠めにしてでも主の座を手に入れるぐらい、考えちゃどうだい」

「な、何てこと言うんですかっ」

 真っ赤になって、政吉が、ばん、と敷いてあった布団を叩いた。
 おりんが驚いて、ささっと貫七の後ろに回る。

「冗談だよ。どっちにしろ、性別は変えられねぇからそれも出来ねぇ。問題はそのままってこった」

 しん、と三人とも黙り込み、再び空気が重くなる。
 貫七はしばらくお嬢さんの様子を窺ってから、口を開いた。

「なぁ。あんたは一体、どう考えてるんだい? 女装のこととか。確かに赤子の頃なら、女児の格好をさせるってのも、珍しくはねぇそうだ。でもあんたもそれなりの歳になれば、それはおかしいってわかるはずだろ? 何で止めなかったんだい? 両親に止められたのか?」