「……とはいえ、政吉さんにゃ世話になったしな。結局性別は変えられねぇとわかったから、もうお嬢さんは女になるとか諦めるしかねぇんだが。根本的な問題は、解決してねぇよな。このまま、じゃあさいならってのも悪いしなぁ」

 お嬢さんの視線は無視し、貫七は政吉に顔を向けた。
 政吉は、ぎゅっと唇を引き結んで黙っている。

「お嬢さんをどうにも出来ねぇとなった今、店の跡取り問題をどうするかってのが最大の問題なんだ。女物を扱う店なら、女子の気持ちをより理解するための修行だって言い訳も出来ると思ったんだが、そもそもお嬢さんはどうなんだ?」

 やっと貫七がお嬢さんに目を向けた。

「あんた、店のこと、どう考えてるんだ。何となく今回の旅も、積極的じゃなかったよな? やけくそで、おん出てきたってのが正直なところじゃねぇのか?」

「そ、そんなことは。わ、私だって必死ですよ。やっと光が見えたんですから」

 どことなく口ごもりながら、お嬢さんが言う。
 貫七は訝しそうに片眉を上げた。

「光? 女になって、政吉と店を継ぐ計画のことか?」

 え? とお嬢さんがきょとんとし、政吉が赤くなる。
 意味がわかり、お嬢さんは慌てたように手を振った。

「な、何で政吉。私は貫七さん、あんたのために……」

「そいつぁごめんだ」

 言い終わらないうちに、ぴしゃりと遮る。
 思わぬ反応だったのだろう、お嬢さんが固まった。