「そうですかぁ。やっぱりそんな術者は、いないですよねぇ」

 行灯に照らされて、政吉が肩を落とした。

 部屋に戻るなり帰りが遅い貫七を心配していた政吉とお嬢さんに詰め寄られ、とりあえず落ち着かせてから今日の成果を話した。
 狐云々は伏せ、目星をつけた術者には会ったが、やはりそんなことは出来ないようだ、とだけ言った。
 そんな噂が広まったのも、実際はどちらが産まれても納得するよう説得されるだけなのだが、その上で思い通りの子が産まれた者が、ご利益あり、と思い込んだのだろう、と。

「まぁ最終的に産まれてきた子がどちらでも、変わらぬ愛情を注げるようにするってだけでも、大した腕だとは思うがね」

「そうですね。そういうお人も、必要ですよね……」

 一応術者に関しては納得し、だが政吉は、はぁ、とため息をついた。
 重苦しい空気が満ちる。

「で、だ。一応探してた術者は見つかった。噂の真相も確かめた。その上で、性別を変えるなんてことは、出来ねぇとわかったわけだ。……俺の役目は終わったわけだが」

 元々貫七は、困っているお嬢さんのために一肌脱ぐ、という名目でついて来た。
 これで小薄という強力な神狐に会えなければ、まだ旅を続ける意味はあるが、貫七の本来の目的は達成された。
 ここで二人と別れてもいいはずだ。

 が、お嬢さんが、縋るような目で貫七を見る。