「さて、どうすっかなぁ」
風呂場の外側で、竹筒で薪に風を送りながら、貫七が呟いた。
部屋に帰るのが億劫だ。
政吉たちに、術者のことを説明せねばならない。
ただそんな術者はいませんでした、とだけ伝えても、元の状態に戻るだけで、この旅が終わるわけではない。
二人と別れるには、政吉たちの問題を解決してやる必要があるのだ。
自分たちの問題を解決するために、二人をさっさと見捨てることが出来ないところが、貫七が悪人になれないところである。
情報をもたらしてくれたのは、やはり政吉だからだ。
「お嬢さんが女になれない、となると、とりあえずは店の跡継ぎ問題だな」
『そうだね。政吉の気持ちは、政吉に衆道の気(け)がないと、もうどうにもならないし。あ~あ、お嬢さんが女になれば、政吉を婿として店も安泰。一気に解決だったのにさ』
おりんも、ふぅ、とため息をつく。
おりんからしたら、その上貫七にまとわりつくお嬢さんを追っ払えるという考えもある。
お嬢さんがどんなに貫七に惹かれても、貫七にその気がないし、こんな根無し草、大店の旦那が店の跡取りに認めるわけはない。
ということで、お嬢さんの想いも、どうせ叶わないのだ。
風呂場の外側で、竹筒で薪に風を送りながら、貫七が呟いた。
部屋に帰るのが億劫だ。
政吉たちに、術者のことを説明せねばならない。
ただそんな術者はいませんでした、とだけ伝えても、元の状態に戻るだけで、この旅が終わるわけではない。
二人と別れるには、政吉たちの問題を解決してやる必要があるのだ。
自分たちの問題を解決するために、二人をさっさと見捨てることが出来ないところが、貫七が悪人になれないところである。
情報をもたらしてくれたのは、やはり政吉だからだ。
「お嬢さんが女になれない、となると、とりあえずは店の跡継ぎ問題だな」
『そうだね。政吉の気持ちは、政吉に衆道の気(け)がないと、もうどうにもならないし。あ~あ、お嬢さんが女になれば、政吉を婿として店も安泰。一気に解決だったのにさ』
おりんも、ふぅ、とため息をつく。
おりんからしたら、その上貫七にまとわりつくお嬢さんを追っ払えるという考えもある。
お嬢さんがどんなに貫七に惹かれても、貫七にその気がないし、こんな根無し草、大店の旦那が店の跡取りに認めるわけはない。
ということで、お嬢さんの想いも、どうせ叶わないのだ。


