貫七とおりんは、一生懸命木の葉の言葉を反芻する。
「……願いは届くってか」
ややあってから、貫七が、ぼそ、と呟く。
途端に木の葉が、ちちち、と突き出した指を振った。
「違う。『綺麗な』願いは、の話。ここ大事ね。汚い願いってのは、願いじゃないのね。だからわざわざ『綺麗な』ってつけなくてもいいんだけど、人にゃわかんないだろうからさぁ。それこそ『わざわざ』つけてあげたんだよね」
意味わかる? という木の葉を、貫七とおりんが、じっと見る。
「汚い願いってのは、願いじゃない。呪いなのさ。だから単に『願いは届く』だけでも良かったんだけどね」
「なるほど。もっともですが、それ、その女にゃ伝わってないですぜ。絶対に男が産まれるって確信してる。性別を変えて貰ったって思ってますし」
「やだねぇ。そんな己の欲のために、てめぇの腹の子を弄るなんざ、人ってのは汚い生き物だ」
「違いねぇ」
貫七が頭を掻く。
そして、ふと別口から聞いた話を思い出した。
「てことは、実際に思い通りの子供を産んだ人ってのは……」
具体的な話をもたらしてくれた供連れのお嬢様のほうは、確か従妹が実際に性別を変えて貰ったようなことを言っていた。
望み通りの男児を、見事に産み落としたとか。
「ああ、だからそれは、たまたま。たまたま望み通りの性別の子が宿ってたってだけ」
言っても二分の一だ。
臨月近くであれば、腹の形でおおよその見当はつくという。
それを元に予想立てて、望んでいるのと違うようなら説得に力を入れるのだろう。
話に引き込むぐらいの術は使っているのだろうし、何といっても神の使いである白狐の言うことだ。
人など簡単に改心させられるのではないか。
「……願いは届くってか」
ややあってから、貫七が、ぼそ、と呟く。
途端に木の葉が、ちちち、と突き出した指を振った。
「違う。『綺麗な』願いは、の話。ここ大事ね。汚い願いってのは、願いじゃないのね。だからわざわざ『綺麗な』ってつけなくてもいいんだけど、人にゃわかんないだろうからさぁ。それこそ『わざわざ』つけてあげたんだよね」
意味わかる? という木の葉を、貫七とおりんが、じっと見る。
「汚い願いってのは、願いじゃない。呪いなのさ。だから単に『願いは届く』だけでも良かったんだけどね」
「なるほど。もっともですが、それ、その女にゃ伝わってないですぜ。絶対に男が産まれるって確信してる。性別を変えて貰ったって思ってますし」
「やだねぇ。そんな己の欲のために、てめぇの腹の子を弄るなんざ、人ってのは汚い生き物だ」
「違いねぇ」
貫七が頭を掻く。
そして、ふと別口から聞いた話を思い出した。
「てことは、実際に思い通りの子供を産んだ人ってのは……」
具体的な話をもたらしてくれた供連れのお嬢様のほうは、確か従妹が実際に性別を変えて貰ったようなことを言っていた。
望み通りの男児を、見事に産み落としたとか。
「ああ、だからそれは、たまたま。たまたま望み通りの性別の子が宿ってたってだけ」
言っても二分の一だ。
臨月近くであれば、腹の形でおおよその見当はつくという。
それを元に予想立てて、望んでいるのと違うようなら説得に力を入れるのだろう。
話に引き込むぐらいの術は使っているのだろうし、何といっても神の使いである白狐の言うことだ。
人など簡単に改心させられるのではないか。


