どうやら女の企みは、全てお見通しのようだ。

「やっぱりろくでもない女だったんだね~。いや、ろくでもないのは皆かもね。女装をやめない奴もそうだし、それを野放しにしてきた親もそうだ。周りだって、いくらでも注意できたろうに」

 やだやだ、と手を振る木の葉に、小薄も頷く。
 貫七は苦笑いを漏らした。

「まぁな……。確かに親にも責任の一端はあるな。我が子が心配だったとはいえ、いつまでも許すべきじゃなかった。仰る通りだが、人の商売の世界にゃ、やかましい掟ってものもあるんだろうよ。政吉たちだって、注意しようにも立場的にあんまり言えなかったんだろうし」

『で、疑問に思うのは、今まで木の葉様は最終的にどっちが産まれても納得する方向へ持って行ってたのに、何で今回の女は絶対に男が産まれると思ってるのかってことだよ』

 油断すると、どうしても話が逸れがちになる。
 おりんはばしばしと肉球で床を叩いた。

「あんまりうるさいから、おいらが面倒になったってのもあるかもね」

 相変わらずおりんには、にこにこした顔を向けながら、木の葉は聞き捨てならないことを言った。

『面倒になった?』

「うん。女の纏ってる気があまりに汚かったしさぁ。汚い気は好きじゃないんだよ。中(あ)てられちゃうし。気持ちも悪くなってきたから、もう面倒で、はいはい、強く願っておけば、きっと綺麗な願いは届きますよって言ったの。嘘ではないし」